入国自体は、通常の手続きと変わりありません。ただ、IAP-66という書類が、Visiting Scholarにとっては重要になります。私の場合、家族は一緒にいきましたので一通ですみますが、別々に入国する場合には、IAP-66は複数必要です。この点は、実ははっきりしません。UCBの担当者は、IAP-66のコピーと、家族の受け入れを証明したレターで大丈夫ということをメールで言って来ました。しかし、同僚の長谷川教授が(彼もコーネル大学に半年前から留学していました)INSのHPで調べたところによれば、IAP-66の裏面に、受入大学(私の場合はUCB)の担当者の裏書がされて始めて有効になるから、裏書をしてもらったもののコピーでなければ、家族が入国するのには有効ではないはずだとのことでした。実は、私は家族に先立ってアメリカ入りするつもりだったのですが、これを聞いて保守主義の原則を貫き、一緒に入国することにしました。(くどいようですが、この当たりの話はすでに制度が変わっているため、確認が必要です)
一緒に入国するとなると、犬を連れている以上、サンフランシスコ空港からBerkeleyまでの交通手段を考えなければなりません。タクシーやバスでは犬(ケージがありますので)が入りません。そこで、スタンフォード大学で教鞭をとっている友人夫婦に車をだしてもらい、一方で自分もレンタカーでワンボックスカーを借りて運ぶというプランを立てました。
SFOに到着して手続きをしますが、ここでは、犬のえさの牛肉がひっかかり、ことごとくとりあげられました。魚とチーズ、ミルク棒はＯＫでした。なお、心配していた犬たちですが、元気に出てきました。その後も健康には何の問題もなく、うまく乗り切ってくれたようです。
友人夫婦に迎えられ、ようやく入国したわけですが、そこからが大事です。ＳＦＯでは、レンタカーのカウンターが空港から離れたところにありますので、シャトルバスに私だけ乗って車を借りにいきます(今は、モノレールで簡単に行けるようになりました)。予約は日本でしていました。レンタカー会社はハーツで、1週間借りて6万円ほどでした。操作とＳＦＯへの道を聞いて、いざ出発です。もちろん、国際免許は持って行きましたが、実は、私はこのときが左ハンドルデビューの日でした。寝不足、疲れ、左側通行、しかもＳＦＯ内の道路がよくわからなくておろおろしながら運転していて、気がつくと右サイドを電柱にぶつけて、ドアミラーを落としていました(笑)。保険がフルカバーだったので、追加支出はありませんでしたが、やはりいやなものです。レンタカーを借りる場合、かなり高くつきますが、「フルカバー」にすることは絶対に必要だと思います。この処理については、また後で書こうと思います。
さて、友人の奥さんに先導されて、ハイウェイをＢｅｒｋｅｌｅｙに向かうのですが、これがこわいこわい。なにせ、右左が反対であるうえ、結構込んでいてスピードは速いときています。冷や汗をかきつつおよそ45分。ようやくBerkeleyに到着します。私もこわかったですが、同乗していた家族も生きた心地がしなかったと思います。SFO付近は結構道も混んでいますので、最初からレンタカーはあまりお奨めしません。
家については、すでにUCBの担当者を通して、犬OK、Full Furnishedの2ベッドのアパートを借りていました。家賃は月$1,700で、電気代、電話代は自己負担です。オーナーとはメールでは数回連絡をとっていましたが、会うのは当然初めてです。持って行った携帯で連絡を取り、とりあえず中に入って待つことにしました。この時点で、へとへとになっているわけですが、まだ気を抜くことができません。部屋は、十数畳大のリビングと、十畳ほどのベッドルーム、８畳ほどのベッドルームですが、本当になんでもそろっています。オーナーは、私のような研究者向けにアパートを貸していて、そのため、前の人が残していったものなどもあって、買い揃えるものは調味料などをのぞいて、ほとんどありませんでした。
しばらくして、オーナーがやってきて、直接話をします。非常にあたりの柔らかな、そして優しい人物で、一同ほっとしました。彼とは、その後、いろいろなつきあいをすることになります。アパートもいくつか持っていますので、Berkeleyに滞在する場合には、彼のようなオーナーと連絡をすることをお奨めします。大学の担当者は、こうしたオーナーを数多く知っていますので、問い合わせるとよいと思います。
一通りの話が済み、近くの中華料理店でテイクアウトのチャーハンとおかず数品を購入し、部屋で食事をして長い長い一日を終えました。
さて、家は2階建てのアパートでした。上述のように２ベッドで3人で住むには十分な広さです。BARTのDowntown Berkeley駅からは徒歩７〜８分ほど、娘が通う予定の高校からは5分もかからないところですし、静かな住宅街だったのでとても気に入りました。ただし、部屋は２階だったので、犬たちがばたばた走るのを少し気にはしていました。
ところが、犬好きのオーナー(彼も犬を飼っていて、ちょくちょく連れて遊びに来ました)は、「俺は二階建ての一軒家を持っていて、一階に住んでいる住人がもうじき出て行くから、そっちに移らないか？家賃はそのままでいいから。だって、アパートじゃ、犬がかわいそうだからな」と言ってくれたのです。さっそく見に行くと、広い庭があり、確かに犬たちには良い環境です。すこし街の中心部からは離れることになるし、何よりバスタブがなかったので少し迷ったのですが、気兼ねなく犬たちと生活ができることと、後述のアンドロニコスというスーパーがすぐ近くにあるということなどから、入居２週間ほどでまた引越しをすることになりました。
結果的に、この引越しは成功だったと思います。娘は高校までバスで５分、帰りは同級生に車で送ってもらっていました。私は天気が良ければオフィスまで歩いて２０分。良い運動です。雨が降ったり荷物が多いときは車で行ってました。駐車場はオフィスの目の前にある市営の駐車場を使っていましたが、帰国直前に民営になり、駐車料金がいきなり跳ね上がったのにはびっくり(笑)。
また、庭にはリスがやってきたり、庭にあるバーベキューセットで友人たちとBBQを楽しんだりと、豊かな生活を過ごせました。家内と毎日のように通ったアダルト・スクールも家から徒歩５分ほど(現在は移転しています)。本当に本当についていました。
ちなみに、２階の住人は何回か変ったのですが、一時期オーナーのお母さんが住んでいました。彼女はLAのリタイアした人たちが住む街に住んでいたのですが、ときどき家族に会いにSFにやってくるのです。このときは４カ月ほど滞在していて、結構仲良くなりました。食事をたくさん作った時はおすそ分けをし、向こうもバナナケーキを焼いたからと持ってきてくれたり、これもまた楽しい思い出です。